映画レビュー「ブルージャスミン」 映画レビュー 2014年05月13日 ウディ・アレンの新作がやってまいりました! ブルージャスミン ■予告編 ■あらすじ ジャスミン(ケイト・ブランシェット)は夫ハル(アレック・ボールドウィン)とニューヨークでぜいたくな生活を送っていたが、全てを失い、サンフランシスコに暮らす妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)のアパートに身を寄せる。過去のセレブ生活にとらわれ、神経をすり減らしていたジャスミンだったが、ある日お金持ちの男性ドワイト(ピーター・サースガード)と出会い、自分の身の上についてうそをついてしまう。 (シネマトゥデイより抜粋) ■どこの国にも「タマ子」はいるのか ひょんなことから居候の身となった女性の、華やかさとは無縁の生活を描く・・・という意味では、昨年の邦画「もらとりあむタマ子」と共通点もある作品。タマ子ニューヨーク版、といった感じですね。 しかし、田舎で自堕落に生きるタマ子と違って、このジャスミン、破産しているのにブランド品を身にまとい、惨めな生活から抜け出そうと悪戦苦闘します。その奮闘ぶりで、返って皮肉が際立ち、おしゃれな映像にもかかわらず「エグさ」が滲み出ている作品になっています。似ているところもあるけれど、好対照な映画です。 ■過去は過去 色んな登場人物が「過去は過去だ」というセリフを喋ります。キャラクターの立場や、場面のシチュエーションが違うので、同じセリフでも意味合いが変わってくるのが良い。1本の作品で色々な考え方が味わえます。 ほとんどのキャラクターは「過去は洗い流して新しいスタートを切りたい。それこそが本当の自分の人生なんだ」といいたげ。けれど、詐欺の片棒を(無意識にでも)担いでいたジャスミンに対しては、全員が「過去のことだと思って洗い流せると思うなよコノヤロー!!」と責め立てます(笑)。このダブル・スタンダードがジャスミンを追い込んでいくさまは、なかなか意地悪。彼女の心が次第に病んでいく原因は「自身の虚栄心」もさることながら、「周囲のダブル・スタンダード」にもありそうです。 けれど、当の監督、ウディ・アレンも、その「ダブル・スタンダード」に随分苦しめられていそうですね・・・(汗)。軽妙なコメディタッチの作品だけど、「エグさ」は満点です。 PR