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VFXメモ!

映画レビュー「サンブンノイチ」



■予告編


■あらすじ
人生の一発逆転を願って企てた銀行強盗が見事成功したキャバクラ「ハニーバニー」店長のシュウ(藤原竜也)、ボーイのコジ(田中聖)、常連客の健さん(小杉竜一)。彼らは奪った数億円の大金を均等に分け合うはずだったが、自らの取り分を少しでも増やしたいという欲から壮絶な争いが始まる。さらにほかにもその金を奪おうとする者が現われ、事態は予測できない展開に……。

■初!品川映画
 お笑い芸人でもお馴染みの、品川ヒロシ監督作品。
 品川サンの映画を見るのはこれが初めて。けどこれでもう3作目なんですね。すでに一定の評価を得てるんでしょうか。
 北野武や松本人志とはまた違い、ストレートなエンターテインメント作品を撮ってる事が、1週回って逆に個性的ですね。
 ただ、個人的にはあまり楽しめませんでした・・・。


■タランティーノから影響を受けた映画たち
 本作「サンブンノイチ」はタランティーノの「レザボア・ドッグス」へのオマージュ、そしてガイリッチー監督作から編集テンポやアクションの影響をモロに受けています。
 いち映画ファンとしては、そんな作品を作りたい気持ちはヒジョーによく分かります。反面、「エッ、いまさら?」という気持ちにもなります。
 一昔前の石井克人監督作や、関口現×多田琢コンビニよる「サバイブ・スタイル・ファイブ5+」などの作品もありました。散々「映画と言えばタランティーノですかね〜」というスタンスの作品を見ていたので、「ああ、またこのテの映画か・・・」と思ってしまいました。「サバイブ〜」は面白かったんですが、鼻につくお笑い描写も多かった。「別にダメとは思わないけど、このテの映画はこれで最後にしてほしい」と当時思ったものです。
しかし、「サンブンノイチ」がその沈黙を破ってしまいました(汗)


■好きすぎて、ちょっと引く
 監督の「好き」が高じて作られた映画といえば、ハリウッドでは「ザ・タウン」(ベン・アフレック監督作)などが思い浮かびます。この作品も銀行強盗の映画で、かっこいい力作です。
 しかし、その反面、「オレは『ヒート』が大好きなんだ!」という気持ちが強すぎて個人的には手放しで絶賛もできませんでした(勝手な邪推の言われたらそれまでですが)。
 センスも感じるしハッとするシーンもいっぱいあったんですけどね。「じゃあ『ヒート』見るよ」という気分になってしまうんです。
 「サンブンノイチ」も、品川さんの「オレはタランティーノ映画が大好きなんだ!」という気持ちが強ければ強いほど、「じゃあタランティーノ見るよ」という気分にしかならないのでした。
 映画愛ってのも難しいですね。この愛が違った形で発露すれば、品川監督もっと面白い作品が作れるのでは?と思います。


ちなみにベン・アフレック、「ザ・タウン」の次の作品は「アルゴ」です。これは大好きでした。良い意味で映画愛が炸裂していたと思います。品川監督、アルゴ級の娯楽映画、期待しております。


■本作のVFX (軽くネタバレ)
 とくにメイキングなどが世に出てるわけじゃないので、それほど突っ込んだ話もできないですが・・・。オヤッ!と思ったのは、「人と車の衝突カット」。本作では、なんと真上からの俯瞰ショットでクラッシュシーンが撮られています。
 「ニッポン・ダンディ」などで高橋ヨシキさんがよく仰ってるように、CGやVFXの発達のおかげで、「1カット内でクラッシュを見せる」というカットは格段に増えました。ショック効果も強いですしね。私も随分前ですが作ったことがあります。
 ただ、このテのクラッシュシーンは、真横から撮られているのがほとんどなんです。真横からトラックなどの車両が飛び込んできて、人が進行方向にはじき飛ばされる。そのほうがアニメーションも付けやすいわけです。真上から撮ったら3次元で動きを付けなければいけませんから。
 そういう意味では、楽してありきたりな表現にするのではなく、シーンのシチュエーションを尊重した絵作りになっていると思います。

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