映画レビュー「黒執事」 映画レビュー 2014年04月10日 公開もとっくに終わり、ソフトも出る前の中途半端な時期ではありますが、過去に書いたレビューを加筆修正し御送りします。 「黒執事」(ネタバレあり) シャーロック・ホームズを彷彿とさせる雰囲気のポスター。 ■予告編 ■あらすじ 女性だということを秘密にしている幻蜂家当主の幻蜂清玄伯爵(剛力彩芽)と執事のセバスチャン(水嶋ヒロ)は、絶対的な主従関係にあった。一方、二人は世界統一を目標にする女王の諜報(ちょうほう)員「女王の番犬」という役割も担っていた。ある日、女王から連続殺人事件を解決せよという命が下る。また、並行して少女たちが街から消えるという出来事も起こる。セバスチャンは、二つの事件に結び付く手掛かりを発見するが……。 (シネマトゥデイより抜粋) ■雰囲気はイイ!!と思った矢先・・・ 映画が始まった瞬間、ダークな映像がハリウッド映画のようで「おっ、ちょっとカッコイイかも」と期待は高まります。「クラウド・アトラス」のよう・・・とまではさすがに言えないものの、未来都市の風景もなかなか。水嶋ヒロ扮するセバスチャンもいきなりの大アクション。数年前の流行ではありますがスピード編集した映像もままカッコ良かったです。 けれど、物語が本格的に進むにつれ、期待は急速にしぼんで行くのでした・・・。 ■「××っぽい」の集積でできている よくも悪くも、見てくれだけをこだわった映画だと感じました。ただ何となく「◯◯っぽい映画にしたい」という気分だけで作られてると思います。先で述べたシーンはオオッと思いましたが、それ以降の描写は中途半端なものばかり。「ダークナイトっぽい」「ドラゴンタトゥーっぽい」「ミステリーっぽい」「潜入捜査モノっぽい」「アクションが凄いだけじゃなく中身も深いっぽい」というような、作り手のぼんやりした願望だけがスクリーンに映っていました。 ■テーマ的には面白いと思う 「性差や出生の違いによる抑圧」、「自分を犠牲にしても見ず知らずの他人を助けることができるか?」という題材、「敵もまた主人公と同じように復讐が目的だった」という真相など、テーマ的には面白いと思えたので、ディティールにもっとこだわっていたら面白かっただろうな、と思います。うーむ惜しい。 ■ダークナイトから何を学んだのか? なんとなく工場に入り込んでバトルになる展開は笑っちゃいました。それ、シュワちゃんとかスタローンの映画で散々やってきたことじゃん!「コブラ」とかさ! 作り手のインタビューで「ダークナイトのような・・・」と言ってたけど、真似するならラストバトルは「主要登場人物たちにとっての因縁の場所」でやるのが良かったんじゃないでしょうか。ダークナイトでは「爆破された倉庫跡地」。では黒執事で「主要登場人物たちにとっての因縁の場所」はどこだったか・・・。そう考え出すと、それぞれの登場人物のドラマがより熱くなるような気がするんですけど・・・どうでしょうか。 「ダークナイト」を目指したはずが、 結果的に、筋肉映画(と、その亜流)に近づいてるのは「んも~お茶目~」って感じ。「なんかよく分からないけどとりあえず爆破しちゃう」シーンなんかもあったりして、エクスペンダブルズ感はビンビンでした。 ■けど続編は見てみたい かなりケチョンケチョンに書いてしまいましたが、水嶋先生の並々ならぬ意志は感じる作品。話の骨格というか、大きなあらすじとしては決して嫌いじゃありません。化ける可能性は秘めてる作品だと思うので、もし続編ができるなら、是非頑張ってほしいのですが・・・。 PR