映画レビュー「ワールズ・エンド」 映画レビュー 2014年04月20日 初日に渋谷はシネクイントで見てきました。 朝にネット予約したのが幸い、満席のうえ立ち見ありの中、座って見る事が出来ました。 いやー大盛況でしたね。 映画レビュー「ワールズ・エンド」(ネタバレあり) ■予告編 ■あらすじ ひと晩に5人で12軒のハシゴ酒という学生時代に達成できなかった挑戦にリベンジすべく、故郷であるイギリス郊外の街ニュートン・ヘイヴンに戻ってきた中年男性たち。終点となる12軒目のパブ、ワールズ・エンドを目指して、ひたすら飲みまくっては大騒ぎする彼らだったが、どこか街の住民たちの様子がおかしいことに気付く。やがて、住民が何者かによって操られていることが判明。目を光らせて青い血を流す彼らに追い掛けられながらも、五人はハシゴ酒を成し遂げようと逃げては飲んでを繰り返していく。 ■笑いあり拍手ありの劇場 映画館に行ってみると、ロビーはなんと超満員!観賞後にパンフレットを求める列と、これからチケットを買う列とが入り乱れる人、人、人。単館上映という事情もあり、かなりの盛況ぶりでした(シネコンで上映したらどうかは分かりませんが・・・汗)。 映画の最中も、サイモン・ペグやニック・フロストが何かする度に笑いが起こる賑やかな上映でした。もう「彼らが出てたらなんでもいい!」くらいのノリさえ感じられる状態。皆、エドガー・ライト映画に対して全幅の信頼を寄せているんだなあとシミジミ。ここまで観客に愛される彼らは幸せ者だ!映画が終った後にも拍手が。日本の映画館では珍しいですね。 ■破壊の快感 やってることは「ショーン・オブ・ザ・デッド」に近いかな?パブをハシゴ酒しながら世界の危機に立ち向かう。なんの変哲もないと思っていた街の住人たちが、ロボットと化して次ぎから次へと襲ってきます。 「ロボットと化す」ってのがあやふやなんだけど(笑)、頭がスッポ抜けたり青いオイルが吹き出したり、「ブッ壊す快感」がいっぱいあって楽しい。一旦バラバラにされたロボットが、体の部品をちぐはぐのまま繋ぎ合わせて反撃もしてくる!なんとバカバカしい。 ■後半は熱い展開。ほてってきた? 徹底してバカバカしい展開が続くのだけれど、クライマックスを迎えるころには、熱いメッセージがふつふつと湧いてきます。「自由をよこせバカヤロー!オレにはそれしかないんだ!」バカ映画と思いきや「自由とはなんぞ!」というテーマに突入!「ただ酒が飲みたい」からそこへいくのか! ■それでも人生は、世界は続く(カッコイイ) 大抵の映画が終わってしまうところでも、終わらせずにまだ続きがあるのがエドガー・ライト作品の魅力。「自由を手に入れた世界」と、「一度でもエイリアンたちの侵略を許してしまった世界」が混じり合っていきます。 「敵のエイリアンを追い返して一件落着!これで以前の日常に元通り!」ってなワケにはいかんのです。「世界が変わっちゃったとしても、そのまま生きて行くしかないじゃないっすか」というスタンス。 一度ぼろぼろに破壊されたロボットたちも、その破損した状態のまま生きて(?)いくしかない。 それでも決して絶望することなく「これが自由ってことだぜ!」という覚悟を貫く主人公たちの姿には、ただただ勇気をもらうばかりです。 ■本作のVFX 本作のVFXを担当したのはDouble Negative社などなど。 ロボット化した住人たちをVFXで強化。モニュメントの銅像が動き出したり、爆破シーンなどが目立ったVFXシーンでしょうか。 光る目と口。LEDを仕込んだゴーグルとマウスガードを着用して撮影。アップで映る顔の場合は、ゴーグルとマウスガードのバレを合成で消してから、フレアを付け足したとのこと。 引っこ抜かれる首のマネキン。ううむ、リアルだ。 特撮も活用して、CGの使用は極力押さえたそうです。 ロボットの頭部粉砕カット。グリーンバッグで素材取りしたものを合成。 血飛沫、飛び散る破片などは無理して3DCGで作るよりも素材取りしたほうがいいですね。 そもそも血飛沫などを合成で作ること自体ヤダ!!という映画ファンもおられますが(汗)。 場合や演出によりけりですが、こだわりどころは作品や監督、スタッフによって多種多様です。 映画中盤で登場する銅像型ロボット。 撮影現場では↓のような感じ。 ・・・これっぱかしもかっこ良くないですが、「クリーチャーはこれくらいの大きさッス」と、現場スタッフでイメージを共有するためにこれが必要だったりします。 役者の目線も合わせやすいですね。照明も活かしてるのかな? 日本でも特撮作品などで同じようなことをしますが、撮影段階でクリーチャーデザインが決まっていない場合もあります。なので完成後初めて「こんな映像になるんですね〜」という役者さんもいらっしゃいます。事前にイメージできればいいのですが、申し訳ない・・・。 クライマックスの大爆発。現場では特製照明車を用意しての撮影。 撮影もド派手だあ! 両手が両足女(なんと形容していいのかわからない)。 これは、足の形をした被り物を腕に着用して撮影。あとから合成で被り物を消して、その上から回転する足をCGで作り合成、という方法で作られています。 なるべく役者に自然な動きをさせようとしたんでしょうね。 ちなみに、撮影時に映っている腕を合成で消すのは、非常に大変! 技術的に難しくはないんですが、誰にも気づかれない作業なのでとても地味です。(笑) けれど、合成部が楽しようとすると俳優さんに負担がかかることになります。 不自然な姿勢でアクションする必要が出てきてしますし、はじき飛ばされる他の役者さんを撮るのも大変です。バレ消しごときで楽しようとすると、逆に自然な映像は作れなくて、結果的に自分の首を絞めることに(笑)。 こちらで、ロボット住人の破損シーンと、↑の「両手が両足女」のVFXメイキングを動画で見ることができます。 Double Negative社は最初の打ち合わせから納品まで約2年、380カットのVFXを手がけたそうです。 PR