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VFXメモ!

映画雑談 好きなドキュメンタリー映画 ベスト

またまた「僕モテ メルマガ」ガチ話に影響を受けての、
オレなり「ドキュメンタリー映画ベスト」を挙げて見ました。
podcastで既に挙っていて重複している作品もありますが・・・。

旅する映写機


デジタル上映の普及で失われつつある「フィルム映写機」を追ったドキュメンタリー。
以前ミニシアターで働く映写技師さんから話を聞いたことがあるけれど、「ちゃんとやって当たり前で、誰からも褒められることのない仕事」と、ハニカミながらも笑顔で教えてくれたのが印象に残っています。たまにはこういう裏側にスポットあててみるのもいいですね。

本編の中で出てくる、「お客さんは減ったけど、ホームシアターを家に作るのはみんな映画館が特別な場所だと感じているからだ」というスタッフさんの言葉にも目からウロコ。効率だけでは得られない映画館の魅力を再発見できます。

中盤と最後に登場する「大心劇場」はもはや驚愕の域。映画を上映してない時は裏の畑を耕し、川で魚を獲る。上映するときは近所の床屋に「おう、映画やるから見にこいや」と電話で営業。まさに野生の映画館。しかし、日本ではもう殆んど行われていない、ある映写方法を採用している一面もあります。

この先フィルム映写機がいつまで使われるか分からないけれど、それに関わる人々からは悲壮感など感じず、「映画を楽しみつくしてやろう」という気分が伝わってくる作品でした。

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ



覆面アーティスト・バンクシーを追いかけたドキュメンタリー・・・のはずが!
逆に、バンクシーを撮影していた一般人、ティエリーにスポットを当て返した異色の作品。
単なるビデオオタクだったティエリーがどんどん「モンスター・アーティスト化」していく様が笑えてくると同時に、薄ら寒いものも次第に感じられる内容。劇映画でいうと、「キング・オブ・コメディ」の狂気にも近いものを感じました。映画を見てる最中はティエリーを笑って見てしまったのだけど、「じゃあ、彼とバンクシーの違いは?」もっと言えば、「オレは彼を笑えるような立場か・・・?」とも思えてきます。
「芸術って、表現って何だ?」ということが、見れば見る程分からなくなっていく作品。

演劇1、2


想田和弘監督による観察映画。
この映画をキッカケに平田オリザの存在を知り、頻繁に劇場に足を運ぶようになりました。
映画ばかりで演劇には殆んど興味を持たずに生きてきましたが、「劇場に通う」という新たな生活習慣をもたらしたという意味で、文字通り自分の人生を変えた作品です(決して大げさな表現ではないと思います)。

なので、「演劇なんて興味ないよ。大げさな身振り手振りで臭い芝居するんでしょ?」という人ほどオススメ。これを見れば演劇の魅力、楽しみ方がわかります!

映画の中でワークショプを行うシーンが何度も出てきます。このワークショップの内容を見ているだけで刺激的でした。俳優や演劇通の方には当たり前の内容かもしれませんが・・・。2部作で6時間近い上映時間ですが、退屈することなく没入してしまいました。

これは映画ではない


イランの映画監督、ジャファール・パナヒを追った(?)ドキュメンタリー。裁判所から今後20年間映画製作を禁止された彼の生活。

「考えるだけで、シナリオに起こしたりしなければセーフじゃね?」という際どい判断で、映画の構想を練って行きます。自宅に軟禁状態なので、自室の床にガムテープで仕切りを張り、「ここが主人公の部屋だ」「ここが玄関だ」といった具合に、ままごとをするようにアイデアを出していきます。

けど、さすがに途中で「こんなことして何になるんだ・・・」と落ち込む場面も。笑ってしまいつつも、当人からすれば切実な場面ですね(だからこそ笑ってしまうのだけど・・・)。

劇中で「なにか劇的な事件」が起こるわけではありません。パッと見刺激的な映画に見えないかもしれません。けれど、この映画が様々な困難をくぐり抜け一般公開されていること自体が大きな事件だとも思います。

そして、結果的に、世界中で評価されているイラン映画との共通点も多く持つ傑作になっていると思います。

・・・それにしても、この作品の上映が終わった瞬間、映画館のスクリーンにSONY製ブルーレイプレヤーのメニュー画面がボンッ!と現れたのにはズッコケましたね。
「そうだよな、これ映画じゃないんだよな・・・」
こういうのも映写ミスだぜスタッフさん!誰から褒められることはなくても、しっかりしてくんなはれ!


おわり
パッっと思いつく好きな作品を挙げて行くと、結局「映画や芸術といった”表現”と、それに魅入られながらも現実を四苦八苦しながら生きている人々」の作品ばかりだったなあ、と思いました。けど、皆どこか楽しそうでもありました。
映画好きが映画そのものを題材としたドキュメンタリーにハマってるこの現状・・・なんだか自閉的な気もしますが(汗)、それに気付けただけでも良しと思うことにします・・・。
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